銀行や信用金庫は営利企業であり、収益を上げる必要があります。そのため、ある程度顧客の希望に沿うように仕事をする必要があります。
ただ、それは無理でしょう!っていう要望やクレームを言ってくる顧客がどこの支店でもいたりします。
たまにしか来店しないお客様であれば堪えることができますが、毎日来る常連客や大口の取引先だったりした場合の対応には悩むことでしょう。
今回は働いていて実際にあった顧客からのクレームや無茶な要望の事例と対策について紹介させていただきます。
銀行・信用金庫で実際にあったクレーム事例と対処法
今回は銀行・信用金庫で実際にあったクレーム事例を10つ紹介させていただきます。対処法についても紹介していますので参考になれば幸いです。
本人確認に対するクレーム
銀行員時代、多かったクレームは高額出金の際の本人確認、使用目的の聴取に関するものでした。オレオレ詐欺など特殊詐欺が巧妙化している現代においては必須事項でした。
『何で自分の金を引き出すのにこんな面倒なことしなきゃならないんだ!どう使おうと勝手だろ!』『俺は俺だ!本人確認なんていらないだろ』とおっしゃる方も多かったです。
実際に私の祖父が言っているのを聞いたこともあります。銀行に来るお客様は圧倒的に高齢者が多いので昔はなかったこの制度に戸惑う方も多いのではないかと思いますが…。
ダウンタウンの松ちゃんも本人確認されるくらいですから。高額出金の際は本人確認というルール、もっと知られてほしいと思っていました。
顧客からのクレームに対してとった対応
とにかく下手、下手に出て説明するしかありませんでした。なぜ本人確認が重要なのか。それと振込ではなぜだめなのか。大金を持ち歩くことの方が危険。
ということを伝えると渋々ではありますが事情をお話してくれる方が多かったです。中にはやむなく出金してお渡ししようとした所、お客様に電話がかかってきて詐欺を寸前で食い止めた!なんてこともありました…。
それと、大丈夫だから…!と言って出金されたお客様が後日、やはり詐欺だった…と知ることもありました。
リフォーム資金と称してお金を出金させ、現金を回収されてしまったそうです。詐欺は意外と身近にあるもの。大金を要求された際はまず誰かにまず相談することが大切だと思いました。
高齢者からのクレーム
高齢のおじいちゃんおばあちゃんが多く来店する店舗で勤務しておりました。ATMの操作が苦手な方が多く、入出金の操作が多くありました。
年金受給日は結構な混雑がありましたが間違えの無いよう機械操作を行ったあとにダブルチェックも行い正確にお客様にお渡しするようにしていました。
しかし営業時間が過ぎてから一人のおばあちゃんか出金してもらったはずのお金が手元にない。お財布の中はもちろん、バックの中、羽織もの、全て見たけど見つかりませんでした。
出金したふりをして窓口の人がとったに違いないと言ってクレームの電話がかかってきました。もちろん窓口担当者はそんなことしていません。
しかし完全に盗まれたと思っているおばあちゃんには何を説明しても分かってもらえませんでした。
顧客からのクレームに対してとった対応
まず最初に支店内で管理している金額の再確認をしました。1日で入出金した金額は閉店してから毎日合ってるかのチェックをしていました。
それに加え金庫内の保管金や全て機械に残金がないか隅々までチェックしました。窓口の防犯カメラもチェックし、伺った時間から推測されるお客様にちゃんとお渡ししているかを確認しました。
該当の伝票も何人も集まってチェックをし、確実にお渡しし、支店内の現金過不足が無いことを確認しました。
その後、その結果を持って支店長と共におばあちゃんのお宅に行きました。事実を説明するとおばあちゃんの方から他のバックに入れていた通帳にお金を挟んでいたっと言って見せられました。謝っては頂きましたがご年配の方を担当するのは怖いと感じました。
電話対応に関するクレーム
高齢のお客様に定期預金の書きかえで、窓口への来店を電話でお願いしたときのことです。
私はお客様のご自宅に電話をかけて、いつ窓口にご来店して頂けるのか、お客様のご都合をお伺いするときに、『明日や明後日はご都合いかがでしょうか?』とお聞きしました。
その時の電話では、『では、明日窓口に行きます』と普通に言われましたが、実際に窓口に来られたときに苦情を言われました。
どうやら、電話で私が『明日や明後日はご都合いかがですか?』とお聞きしたのがいけなかったみたいです。
開口一番、『あなたは私が後期高齢者だと思って、いつでも暇だと思ったんでしょうが、突然電話をかけてきて、明日か明後日はどうですかとたずねるのは、失礼だと思いませんか?』と苦情を言われました。
顧客からのクレームに対してとった対応
お客様に相当嫌な思いをさせてしまったようで延々と苦情を言われました。『そもそも、あなた方の年代の人は、年寄りを敬うという気持ちがかけている。そこからなおして欲しい。あなたの昨日の聞き方にしても、いつがご都合よろしいでしょうかと聞くのが普通でしょう?』ご指摘を頂き、私は一生懸命謝りました。
『お客様のおっしゃる通りでございます。私が間違っておりました。大変申し訳ございませんでした』と、謝り続けました。
お客様も自分が感じた不満を私に一通り話したら気持ちが落ち着かれたようで、『そうゆうことだから、今後は気を付けてちょうだいよ』と言われ、その後定期預金の書きかえの手続きをされて、帰られました。
実際に私の対応が間違っていて、お客様に不快な思いをさせてしまったのですが、相手の怒りがおさまるまで話を聞けば、おさまることもあるような気がしています。
身分証明書の提示を要求した際のクレーム
あまり窓口にお見えにならないお客様から身分証明書の提示を断られ、身分証明書の提示を求められたことに対してその場でクレームを入れられたことがありました。
どうやらそのお客様は昔は私が勤めていた信金の常連だったようで、顔見知りの職員もいたようなのですが、支店の職員はすでに総入れ替えの状態になっていました。
そのため、そのお客様の顔を見て分かるような人はいませんでした。また、身分証明書の提示についての規則も、昔と今ではかなり変わっています。
そう窓口で説明をしたのですが、お客様は「〇〇支店長(もちろん、その方はすでに私の支店にはいませんでした)を呼べ」「窓口係の教育がなっていない」と怒鳴り散らし、上司が割り入ってなだめることになりました。
顧客からのクレームに対してとった対応
私はまず、この手のクレームに有効かつポピュラーな手段として、低姿勢で平謝りに謝りました。
そして、お客様の怒鳴り声の合間を縫って現在の身分証明書の提示に関する決まりを説明しました。
しかし、お客様の怒りはどんどんヒートアップしてしまい、私では対応しきれなくなりました。
そこでサッと男性の上司が窓口に来て、物腰柔らかに謝罪をし、「昔は身分証明書なんていらなかったですもんねぇ」とお客様の主張に寄り添った後、私がしたのと同じ説明を、もう一度かみ砕いて行いました。
男性の役職員に対応され、当時の決まりを知る立場から同情もされたので、多少怒鳴り声は収まったものの、まだまだ不満げなお客様は、その後応接室に通されて、その後は上司と支店長とで対応されました。
本人確認に関してのクレーム
奥様がご来店されて、ご主人の定期預金を中途解約される(またはその逆)というパターンの時に、よくクレームをいただきました。
預金をする時はすぐに対応するのに、引き出す時はなぜこんなにも面倒なの?とか、自分の定期預金を引き出すのになぜ本人確認が必要なのかなどです。
盗難があったり何か事件があったりすると困りますので、お客様の預金を守るためにどうしてもルールが厳しくなってしまいます。
ですが、お客様にしてみたら自分が窓口に来ているから間違いがないとおっしゃいます。面識がある場合は臨機応変に対応が出来ますが、そうではない場合ですと確認が必要になり、お客様にご不便をおかけしてしまい申し訳なく思いました。
顧客からのクレームに対してとった対応
まずは確認書類が必要である事をお詫びした上で盗難や具体的に事例を挙げてなぜ必要なのかを説明しました。
お客様の預金を守るためでもある事、身内間でもトラブルがある事など、これだけ言えばたいていの場合は解決が出来ました。
また確認書類をお持ちでなくても、上司の判断で他に確認出来る場合がないかも検討し、上司に対応をお願いしました(当時行内で認められていた範囲内で)。
取引先からのクレーム
今では少し違いますが、以前は消費者やお客様は神様ですという風潮がありました。今では両者が互角の立場に立つという見解も出てきますが。
私が窓口で言われたクレームは数多くあります。一つは当座のお客さんへのお願いです。この会社は毎度のように小切手が回って来て、当座預金に残金がなくて、小切手を落とすことができなくて、入金のお願いです。
そこでいつもこのような状態ですので、残金を確認してからとか、また小切手を切ったときは、前に当座の残金の確認をお願いしますと、奥さんにお願いしました。
すると次に社長が来て、お前が文句を言うから、うちの奴がここに来るのを渋るようになったとのクレームです。
そこでこちらもお客さんの小切手を不渡りにするわけにはいかないので、毎回の督促なのです。
顧客からのクレームに対してとった対応
私の金融機関の小切手等の交換事務も、上の銀行にその東京での事務をお願いしている身です。したがって回ってきたすべての小切手等を落とすか、不渡りで戻すかの決断をしなければならないのです。
ただ機械的に当座に残高がないと言って、時間で即不渡りにすることはできません。そこで毎回の督促と言うことになるのです。
このような状態の当座取引では本来の正常の取引先ではないでしょう。しかし、私の一存でこの会社との取引を解消するわけには行きません。
そこで小切手が落ちるように資金を持ってきてほしいとのお願いなのです。私たちもこの小切手等の交換事務を提携の親銀行にその事務をお願いしているのです。
そこでこの銀行も東京の交換所に一定の時間につかねばならないのです。私の支店での車両の出発が遅れると、提携銀行にも迷惑をかけることになるのです。
私たちも時間で動いていること説明しました。それで社長は分かってくれたようでしたが、やはり資金繰りが苦しいようでした。
本来ならば会社が上手く回るように助言することが必要ようだったのかもしれません。それは当社の融資係の任務かもしれません。
手数料に関してのクレーム
法人の代表者様からクレームがあった事案です。法人の人件費や諸経費支払資金として運転資金の借入をして頂きました。
その後、経営状況も良くなり借入を繰上返済したいとの申し出があったため、内容を把握し手続きに移ることになりました。
所定の書類を徴求する際に、必要書類と繰上返済手数料についての説明をしました。お客様は、完済するのに手数料がかかるという話は借入する時に聞いていない、そんなものは払いたくないという申し出がありました。
当時の担当者は転勤しておりいないものの、電話にて確認すると具体的な数字を上げての説明はしていないが手数料はかかるとの話はしているとのこと。法人借入した際の手数料の件で聞いていないから払いたくないとの事案でした。
顧客からのクレームに対してとった対応
一人での対応では不可能であると判断し、上司と二人で訪問することにしました。訪問した際には言った言わないの問題は不明瞭であることからきちんとお詫びを致しました。
その上で繰上返済手数料がかかることは規定で定められており、減免することはできないという説明も何度も行いました。
手数料も大きな金額でなかったため代表者様も渋々納得され、手続きをして頂くことになりました。
このような事案を減らしていくために、借入をする際に繰上返済手数料について説明がある書類もきちんと徴求することになりました。
言った言わないの不明瞭な問題はいつ起きてもおかしくないため、書類として徴求することで証拠を残すだけでなく、説明もきちんと行うように指導徹底されました。
閉店時間ギリギリに来店した顧客からのクレーム
顧客のクレームの内容は窓口開店の時間が限られているにも関わらず、ギリギリに来店されたお客様がいました。
こちらはもちろん、いつも通りの対応をしていたつもりでしたが、金銭をとりまとめる作業が残っていることもあり、バタバタしていたことや、若干、対応に焦りや煩雑なところがあったのかもしれず、お客様があからさまに不愉快な顔をしました。
こちらからの質問にも答えない、お掛けください、とお声がけしても座ることすらしてくださらない、などのことがありました。
顧客からしてみれば、こちらはお客として来ているにも関わらず、店の者の対応が横柄でバタバタと対応をされたことにより大変不愉快な思いをしたとゆうクレームが実際にありました。
顧客からのクレームに対してとった対応
その顧客からのクレームに対してとった対応としては、まず、少し言葉が足りなかったことに対しては丁寧にお詫びを申し上げました。
窓口の時間が限られているので、少しバタバタしてしまい、お客様が不愉快なお気持ち、焦りなどを感じられたことに対しても、もう少し配慮すべきであったことをお詫びしました。
また、こちらに来られるまでにお時間がかかったけれども、わざわざご来店いただき、お手間も、お時間も使わせてもらったことに対して、感謝を申し上げました。
そのあとは、上席のものが出てきて同じようにわざわざ来てくださったことへの感謝と、対応が不愉快にさせてしまうものであった事へのお詫びを申し上げて、今後は気をつける旨の説明をしてもらいました。お客様は、納得されて帰られたので良かったです。
定期預金の中途解約に関するクレーム
お客さんがきちんと説明を把握しておらず、定期預金の解約時にお客さんが自分で考えていた定期預金利息よりも少ない額での払い出しになり、銀行側の説明が悪いからだと責められ、ロビーで大声を挙げられました。
金利の説明について、申込書の裏面に署名捺印をする部分がついているので、こちらの説明について不足している点はありませんでした。
ですがお客様は当時の担当者を呼べと大声を上げ続けてこちらの話に聞き耳を持たず全く落ち着くことはありませんでした。
定期預金の契約期間が5年と長かったため、当時の責任者は移動でおらず、どのような説明をしたのかも確認できないのですが、こちらは書面を記載して頂いてる以上非はありませんでした。
顧客からのクレームに対してとった対応
まず、お客さんの話を私がよく聞き、その上で文面についてお客さんに見せながら何度も説明を行いました。
ですが納得する様子はなく、1人での対応は良くないと思い、役職者を呼び再度2人で対応し、私からと上司から説明を行いました。
ですが、これでも納得する様子もなく、お客さんの話す声もどんどん大きくなるためお客さんを来客室へ通し、お茶を出し少し気分を落ち着かせてもらってから店長に来客の対応をして貰いました。
1時間ほどかかり最終的にはお客さんの気分も落ち着き納得しお店を出ていかれました。後日当時の担当者へ話を聞くと、契約時から癖の強いお客さんだったようでやっぱりかと言った様子でした。今も説明について気をつけて対応するようにしている貴重な経験です
本人確認書類に関するクレーム
銀行で通帳を作るときや解約する時は、基本的に本人ではないといけないし、本人だと証明するためや本当にその場所に住んでいるということを証明するために公的な証明書などが必要になります。
多くの方が免許証などを持っているのですが、記入した住所が免許証などに記載されているものと違う場合には通帳を作れません。
それを説明すると怒ってしまう方もいます。就職などで通帳が急遽必要になる方も多くいるのですが、時間もないのは分かるのですが、淡々と説明していくと面倒に感じるようで怒りだした方がいました。
幸い近くに市役所の派出所があったので説明するとお金をかけなくないと怒ってしまいました。ルールなので仕方がないと説明すると人間味が足りないと言われて大きなクレームとなりました。
顧客からのクレームに対してとった対応
とにかく丁寧に説明して解ってもらうしかないので、窓口で何度も説明しました。お客様が怒って話している時は基本的に聞き役にまわりました。
話が落ち着いたところでお客様が言っていることは分かるのですが、ルールなので私たちもそれに違反してお客様へ通帳を作ってしまうと、違反になってしまうので申し訳ありませんと何度も頭を下げました。
お客様にはその時は書類などが整っていなかったので、今すぐに対応は出来かねると話をして、どんな書類が必要になるのかなどを、分かりやすく記入しているものを渡しました。
さらに分かりやすく色付きのマーカーで印をつけて、次の来店時にしっかりと通帳が作れるようにと説明をしました。とにかくこちらは不便をかけることを丁寧に謝り続けました。
最後に
銀行や信用金庫での顧客クレームは、主に本人確認や高齢者対応、手数料、閉店時間際の対応などが代表的なものとして挙げられます。
特に本人確認に関するクレームは、オレオレ詐欺などの特殊詐欺対策として必要不可欠な手続きであるにも関わらず、「自分のお金なのになぜこんな面倒な手続きが必要なのか」という不満の声が多く寄せられています。
これらのクレームに対する基本的な対応としては、まず低姿勢で謝罪し、お客様の話をじっくりと傾聴することが重要です。
その上で、なぜその手続きが必要なのか、具体的な事例を挙げながら丁寧に説明することで、多くの場合は理解を得ることができます。
また、高齢者対応では特に配慮が必要で、時には支店長を含めた複数人での対応や、自宅への訪問説明なども行われています。
顧客の資産を守るという金融機関の使命と、円滑な取引の実現の両立を目指し、状況に応じた柔軟な対応が求められています。
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