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信用金庫での仕事のストレスからうつ病になって休職した預金役席の実話

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金融機関でよく使われる言葉に「現金その場かぎり」という言葉があります。これは、現金はその場でしか確認できないし、あとで過不足が判明したとしても反論できないことを表した言葉です。

例えばテラー(窓口係)や渉外係がお客様から「100万円入金してください」と渡された現金が、実際は90万円しかなかったとします。

その場で正確に数えずに取引を完了し、あとになって過不足が分かったとしても、「絶対に100万円渡した」とお客様から言われてしまえば言い逃れできないのです。それくらい怖いものなのです。

最近は店内のビデオカメラでテラー(窓口係)が不振な動きをしていないのを確認できれば立証できるかもしれませんが、特にお客様のお宅に出向いている渉外係は注意が必要です。

機械での勘定ができないため、手での札勘になります。確実に数えないで帰店後に現金違算が判明したとしたら、証人がいないのですから「お前がとっただろう」と疑われても仕方がありません。

ですから我々金融機関で働く人間にとって、「現金その場かぎり」は自分の身を守るうえでも徹底しなければならない行動のひとつです。

今回はそんな大事なお金が千円なくなってしまい大変なことになってしまった実話について紹介させていただきます。

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信用金庫での業務中に千円なくなり預金役席の責任問題に!

今からお話する内容は、以前私と同じ支店で働いていた預金役席の身に起こった悲劇についてです。まず、この支店の人間関係について説明します。関係者は支店長、融資役席、預金役席です。

支店長はユーモアがあって人当たりは良いのですが、自分の身に降りかかるトラブルが大嫌いな方でした。まあ、嫌なことからは目を背けるタイプですかね。

次に融資役席は一言で言えば、変人です。顧客対応が下手くそで、よく店頭で苦情を出すような方でした。営業が出来ないため、内勤になった方ですから。

また場の空気が読めない人間であるのに加えて、年下の私たちに横柄な態度をとる最悪な性格の人で、私は大嫌いでした。

支店長のほうが融資役席より年上でキャリアもありました。融資役席が苦情を出した時、支店長が苦情処理をしなくてはならないため、煩わしい存在であったと思います。

つまり嫌われていたのですが、融資役席はそれに気付いていないという鈍感さ。支店長が融資役席に文句を言いたい時は、私たち渉外係に言ってきます。

直接言えば角がたつため間接的に言うのですが、当の融資役席は持ち前の鈍感力で自分が文句を言われていることに気付いていません。

次に預金役席は一番年下で、渉外歴が長く内勤事務の経験が浅い方でした。一見気は強そうに見えましたが、事務経験が浅いことからどこかしら不安気なところはありました。

現金が千円不足していることが判明

事件はある日の夕方に起きました。金融機関は毎日オンライン上の勘定と現金在り高を照合します。その日、現金が千円不足していることが判明したのです。

よく金融機関の仕事は1円でも合わないと帰れないと言われますが正にその通りで、原因をとことん追及する必要があります。

よって夕方の精査で勘定が合わないと緊張感がはしります。

伝票の金額、テラーや後方事務のオンライン端末の処理金額、出納係が管理するオープン出納機の入出金金額及び現物現金在り高精査、為替電文の金額、融資オペレーション金額、印紙在り高、あげたらきりがないですが原因が分かるまで確認作業を行います

本件に関して、原因はオープン出納機内で紙幣のジャム(詰まり)が原因でした。オープン出納機はある一定のバラ紙幣が貯まると自動的に小束結束を作るために機械内を還流します。

営業時間中、自動還流時にジャムが原因でオープン出納機が停止。メーカー担当者による復旧作業で回復しましたが、センサーが感知しない箇所に紙幣が滞留したまま復旧できてしまったため、夕方に千円不足が発生。

事件当日は夜遅くまで原因を追及しましたが判明しませんでした。原因不明のまま仮払い勘定に計上してその日は皆帰りましたが、翌日以降も原因追及のためありとあらゆる原因を探りました。

当然、日常業務をこなしながらなので皆にかなりの負担がかかります。預金役席は現金違算原因究明にかかりっきりになるため、融資役席や支店長に日常業務の検印作業のしわ寄せがふりかかってきます。

この二人の性格上、預金役席への不満がたまっていきました。現金違算の原因が分かったのは後日メーカー担当者が機械内のありとあらゆる箇所を点検してグシャグシャになった千円札が発見されてようやく分かりました。

預金役席はうつ症状発生から休職・退職へ

原因が判明するまで預金役席は支店長からかなり叱責にあったようです。自分の管轄外の業務負担を強いられた融資役席からも嫌味を言われ続けたようです。

夕方の勘定精査で金額が合わないことは日常的にあります。金融機関の仕事として本来あってはならないのですが、単純なオペレーションミスがまれにあってすぐに判明することが多いです。

特に内勤職員の事務レベルが低いとよく起こります。この事件以降もちょくちょく勘定違算が発生しましたが、幸いすぐに原因は判明しました。

しかしある日、預金役席が体調不良で休みました。また次の日も、その次の日も・・・あとで分かったことですが事件以降も勘定相違が発生する度、過度のストレスから不眠等に陥り、診療内科にかかっていたそうです。

うつの症状と診断され薬が処方されたようですが、通勤の運転中に気分が悪くなり、事故を起こしそうになったのでその日は休みました。

一度休むとまた支店長や融資役席に迷惑をかけてしまったという精神状態に陥り、次の日もまたその次の日も職場への足が遠のいたそうです。

また、薬の副作用もあり運転自体が困難になったため休職されました。その後、自宅から最寄りの支店に異動となりましたが、風のうわさでは後に退職されたそうです。

現金を扱う仕事は過度のストレスがかかります。営業店の仕事は多かれ少なかれ勘定に関わる仕事です。勘定に関わらない本部部署への異動という特別処遇という方法もあったのでしょうが、当時薬の副作用で車や電車に乗れない状態だったそうで、退職されることを選ばれたようです。

最後に

一般的に高度経済成長時代は家庭を省みず仕事中心に働くことで家族を養うことが一番だったでしょう。それに見合う賃金アップによって豊かな生活を手に入れることも可能でした。

しかし、バブル崩壊後の失われた20年、30年は終身雇用、年功序列も崩れ、働き方も多様化しました。現代社会は様々なハラスメントにさらされ、皆ストレスを抱えて生きています。

バランスが難しいですが、仕事あっての豊かな生活ではなく、健康な体あっての仕事であると私は思っています。

病気になって万が一あやまって自らの命を断つくらいなら、一旦その仕事から身を引いて調子を整えることが大事であると考えます。皆さんも健康には気をつけて仕事に励んでください。

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