地方銀行からの転職先として人気があるのはIT系や人材系、保険業界、コンサルティング、地方公務員などです。一定以上の給料やステータスを求める人が多いのが理由の一つです。
ただ、製造業に転職する人もいます。地方銀行での仕事に疲れてしまい、なるべく人と関わらない仕事を探していたら製造業の工場勤務にたどり着いたという人もいます。
製造業で工場勤務と聞くと給料が低くて大変だというイメージを持つ方がいるかもしれませんが、最近では労働環境も改善されており、給与水準も上がってきています。
特に愛知県は車関係の工場が数多くあり、給与水準も高いです。大卒で働いている人よりも高卒で大手車メーカーの工場で働いている人の方が給与が高いということはざらにあります。
ですので、人と関わることが苦手という方にとっては製造業への転職というのも選択肢の一つだと思います。
今回は地方銀行から製造業に転職した方の成功例についてお伝えさせていただきます。転職を検討している方の参考になれば幸いです。
地方銀行から転職をした理由は精神的にきつかったから
僕は現在、31歳の男性で既婚者で子供が1人います。地方の大学を卒業して6年間を地方銀行員として過ごしました。
入行して半年は窓口業務や内部事務を行い、その後営業活動を開始しました。あまり銀行員という仕事が自分に合ってるとは思いませんでしたが、悩みながら業務に励んでいました。
しかし、働いて5年が経過した頃に今まで我慢していた心身の不調のピークを迎え、製造業に転職しました。私が地方銀行からの転職を決めた理由は3つあります。
残業が多すぎることです。
まず1つ目は残業が多すぎたことです。毎日の書類整理や業務日誌、報告物が多くて精神的に辛かったです。もちろん事務仕事だけではなく営業活動もしなくてはいけません。
営業活動をしながら事務作業も時間内に終えるなんてことは誰もできないと思います。私が勤めていた支店の同僚も上司も残業は当たり前という感じでした。
それでも残業代がしっかり払われれば良いのですが、僕が勤めていた銀行は月の残業が多すぎるとタイムカードを早めに切らせてサービス残業をさせられるということが多々あり不満を感じていました。
コミュニケーションが苦手
地方銀行に勤めると幅広い年齢層のお客様とコミュニケーションを取る必要があります。私は年齢が近い人との会話は問題なくできるのですが、歳が離れた方と話すことが苦手でした。
最初の頃は窓口でお客様の対応をしていましたが、高齢のお客様だと会話が通じなかったりすることが多々ありました。地方銀行のお客様は高齢の方がほとんどですので、このまま働き続けることに不安を感じました。
また、上司とのコミュニケーションも上手くとることができませんでした。少しのことが日々積み重なり、段々と人と話すことが嫌になってきてしまいました。
営業ノルマが厳しい
地方銀行員にとって避けることができないのが営業ノルマです。渉外係になるとカードローンや預金、投資信託などの新規の顧客獲得のノルマが立ちはだかります。
正直、勤めていた地方銀行でクレジットカードや投資信託を始めて得られる恩恵は少なく、それをお客様に勧めることに違和感を感じていました。
ノルマに達することができなそうなときは、地元の友達にまで勧誘をしましたが、困惑したり明らかに嫌そうな顔を見るたびに心が痛みました。
そもそも、自分が得とも思っていないものをお客様や友達に勧めることは自分の心に嘘をついているのと同じです。
営業を続けていくうちに、身体や精神もボロボロになり月曜日がくるのが憂鬱になってしまいました。精神科にも通うようになり、転職を決意しました。
製造業に必要なのは体力!コミュニケーション能力は必要なし
僕が地方銀行を辞めて転職した業界は製造業です。地元の友達が工場に勤めていて、心身が安定していて結婚やマイホームまで建てていたのが羨ましく、友達のコネを使って斡旋してもらいました。
工場では、おもに溶接や板金加工といった金属加工に関わる仕事をしています。
製造業は体力勝負
まず最初に入社して思ったのは、製造業の現場というのは体力勝負だということです。銀行員の仕事はほとんどがデスクワークです。パソコンを打ち込んだり、数字と睨めっこしたりと頭や目は使いますが、体全体を使ったりはしません。
その点、工場は思ったより歩くことが多かったり、重いものも持たねばなりません。入社してから1か月ほどは、毎日筋トレをしながら仕事を覚え、戦力になれるように1日でも早く慣れていくことに務めました。
コミュニケーション能力は必要とされない
銀行員時代は嫌でも人とのコミュニケーションが必須でしたが、工場ではそれほど人と会話することがありません。
もちろん工程や仕事内容の打ち合わせはあり、会話することはありますが、慣れてくれば1人で機械を任せられるようになります。
必要最低限しか会話する必要がないので、僕としては精神的に楽です。銀行員時代の心神喪失していた頃よりも、現在の製造業のほうが生き生きしています。
地方銀行から製造業に転職して良かったこと悪かったこと
銀行から工場に転職するなんてもったいないと周囲から何度も言われましたが、私は転職してよかったと思っています。
ただ、転職して悪かったこともあります。工場に転職して良かったことと悪かったことを紹介させていただきます。
転職して良かったこと
僕が転職して良かったと思うのは心身が安定したことです。特に精神面が大きいです。工場にもノルマと呼べるものはありますが、銀行員時代のような無茶なノルマではありません。
さらに工場では、自分が本当に自信を持ってお客様に出荷できるような製品を、自分の努力次第で提供できます。
逆に銀行員のときは、自分が自信を持ってお客様に勧めることができないような商品やカードを必死に説明していました。自分の気持ちに嘘をついてまでノルマを達成しても嬉しくありません。
また、工場に勤めるようになって体力がつき仕事終わりに趣味に時間を割く余裕もできました。あのとき、本当に銀行員を辞めて良かったと思っています。
転職して悪かったこと
転職して悪かったことは金銭面です。どうしても銀行員時代より工場のほうが賃金は安いです。月々の給与明細を見て、いつも銀行員時代の給与と比べてしまいがちです。
ボーナスも、圧倒的に銀行員時代の方が高かったです。給料は勤務する工場によって大きく違うとは思いますが、私が勤めている工場の給料は低いです。
独り身であればそんなに気にすることもありませんでしたが、結婚して子供ができた今はこの給料でやっていけるのか不安になることはあります。
工場は地方銀行と違い役職手当がついて大幅に給料がアップするなんてことも期待できません。毎年の昇給も少しというのが現実です。
最後に
私が転職を決めることができたのは、妻が地方銀行で働き続けて体調を崩すくらいなら転職したら?と言ってくれたからです。妻のその一言にどれだけ救われたかわかりません。
給料は下がってしまいましたが転職したことは後悔していません。最近ではネットで副業なんてことも初めており、少しでも家計の足しになるように頑張っています。
一度精神的に不安定になってしまい体調を崩してしまうと回復までに時間がかかってしまいます。仕事が辛くて転職を考えているという方はそんな事態になる前に転職を考えてみてはいかがでしょうか?
「心身の安定」と「自分の置かれた状況」の2つを天秤にかけて、大事なほうを選択することをオススメします。
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