学生が就職活動をする際に考えるのが企業の将来性だと思います。せっかく就職活動をして就いた会社が潰れてしまっては困ってしまいますからね。
安定した職業と言って学生から出てくる職業の代表格と言えば銀行です。銀行はお金を扱っていることもあり、給料が良く安定していると思われているようです。
でも、本当にそうなんでしょうか?
AIに今後多くの仕事が奪われてしまうなんて話がよく取りだたされています。銀行に将来性はあるのでしょうか?
ということで、今回は地銀・信用金庫の将来性についてお伝えさせていただきたいと思います。
地方銀行・信用金庫の融資先が減少
地方銀行・信用金庫の一番重要な仕事というのは融資です。企業に融資をしてその利息収入で稼ぐことが銀行の本業です。
しかし、地方銀行・信用金庫の主な融資先である中小企業の数が長期的に減少傾向にあります。
グラフは経済産業省から発表されているもので、1999年以降の中小企業数の推移を示しています。
2006年以前と2009年以降では調査方法が異なっており、単純に比較することはできませんが中小企業数が減少していることを間違いありません。
中小企業が減少している要因は様々ですが、経営者が高齢化してきているものの後継者がいないということが挙げられます。
中小企業は経営者個人の能力や存在によって事業が継続できているという面も大きいです。ですので、有力な後継者がいなかったり、事業に将来性がない場合は廃業してしまうことが多いです。
更にコロナの影響で売り上げが減少してしまい、これを機に廃業をしてしまうという経営者の方も多いようです。
少子高齢化によって間違いなく融資先は減少する
子どもの出生率が低下しており、今後人口が減少していくことは間違いないでしょう。厚生労働省が発表した人口動態統計の年間推計によると、日本人の国内出生数は86万4000人だったそうです。初の90万人割れだそうです。
それに対して、死亡数は137万6000人です。昨年度だけでも51万2000人もの人口が減少したことになります。
現在の30代・40代の方たちの時代には一学年150万人程度いたのが、今はその半分しかいないということになります。
ということは、国内の企業数も間違いなく減少していくでしょうし、個人融資先も減少していくでしょう。
銀行にとってお金を貸す先がなくなってくるということです。今後銀行の統廃合がされていく時代がやってくるかもしれません。
金利が低くて本業で稼ぐことができない
先ほど銀行の本業は企業や個人にお金を貸して利息収入を得ることと書きました。銀行は企業や個人に融資をしないと稼ぐことができないんです。
しかし、貸すことができたからといって儲けがあるとは限りません。その原因の一つに異次元の金融緩和によって低金利が続いているということがあります。
銀行は預金に対して支払う利子と、融資先から徴収する利子の差額「利ザヤ」が大きければ大きいほど利益は上がります。
しかし、異次元の低金利が続いていることと、銀行同士の競争が厳しく金利を上げることができない状況が続いているため収益を上げることができずにいます。
銀行も振込手数料や預金の引き出しなどの際に顧客から徴収する手数料を上げたりして収益を上げようとはしていますが、本業である融資が振るわないとどうしようもありません。
AIが銀行員の仕事を奪う
「今後10年のうちに無くなる仕事一覧」なんていうものがよくネットや雑誌など掲載されているので見たことがある方も多いと思います。
10年後までには銀行業務の4割はAIで代替可能だと言われています。その要因として銀行の業務は他業界に比べて定型業務が多いことが挙げられます。
定型業務というのは作業内容がパターン化されて決まっている仕事で、臨機応変に対応する必要がほとんどない業務のことを言います。
こういった定型業務は人間が行うよりもAIに任せた方が圧倒的にミスは減りますので今後AIに取って代わられる可能性が高いです。
ただ、だからといって銀行員が失業するかといえばそうとも言えません。
その一例として昭和52年に普及し始めたATMの事例があります。ATMが設置されたことにより、対面でなくても銀行取引が可能になりました。
そのため、今までよりも各銀行で必要な人員が減り、リストラが増えるんじゃないかとの見方が広がりました。
しかし、銀行員の数は変わっていません。ATMではできない仕事も依然としてありますし、ATMができたから増えた仕事もあるからです。
このように、今の仕事がAIで代替されることは十分考えられますが、その都度今までにない仕事が生れてもきます。
ですので、今銀行に勤めている方がいきなりリストラされて職を失うなんて可能性は低そうです。
地銀・信用金庫に将来性はあるの?定年まで働ける?
以上のことから考えると、銀行の仕事はなくならないにしても将来性はそこまで高いとは言えなさそうです。
また、地方銀行や信用金庫に就職したからには定年まで働きたいと考えている方もいらっしゃると思います。
しかし、実際に定年まで働き続ける方は少ないです。女性は結婚退職される方が多いですし、男性は30~40代で転職していく方が多いです。その理由は以下の通りです。
地銀・信金の業務はキツイ
銀行員の業務はとにかくキツイです。お金を取り扱う仕事ですので何事も細かく事務量も多いです。覚えないといけない手続き量も膨大です。
また、営業ノルマもありますので毎日営業実績に追われることになります。この点についてはどの業界でも同じだとは思います。
しかし、他の業界と違うのは商品に違いがないということです。銀行員の本業は融資です。
何かの商品であればメリットなどを伝えて販売することができますが、銀行員が融資する際の他の銀行との違いは金利しかありません。
ということは金利と人柄で勝負するしかないんです。自分の勤めている銀行の金利が高い場合は営業がとても大変です。
休日は資格の勉強をしなければならない
銀行員の休日は入社したての頃は勉強に当てることが多いです。銀行業務をするために必要な資格が数多くありますし、昇格するために必要な資格も多いです。
入社して中堅社員になってからも勉強は続きます。役職に就くために必要な資格もありますし、研修に行くこともあります。
銀行や信用金庫に勤めるということは一生勉強をし続けるということになります。
以上のことから銀行や信用金庫に入社した方の多くは転職をしていきます。定年まで働き続けるという方は一握りの方です。
銀行は安定しているというイメージから就職を希望する方も多いと思いますが、入ってみると大変だということがよく分かると思います。
銀行や信用金庫に勤めるメリットは転職がしやすいこと
ここまで読まれた方は銀行や信用金庫に勤めるメリットなんてなさそうだと思われるかもしれませんがそんなことはありません。
実は、銀行や信用金庫に勤めていた方は比較的転職がしやすいです。金融機関に勤めていたという方は社会人として必要最低限の業務はできるとみなされるからです。
それだけ銀行や信用金庫の評価は一般的に高いということです。ただ、地銀や信用金庫から大手に転職できるかといえば難しい場合もあると思います。
しかし、他の職種よりは転職しやすいことは間違いありません。30~40代で転職を考えているという方は一度探してみても良いと思いますよ。
最後に
今回は地方銀行や信用金庫の将来性について考えてみました。近年地方銀行や信用金庫の統廃合が進んでいますので、将来性に不安があることは間違いなでしょう。
ただ、今の年齢が40代以上であればこのまま勤務先にすがりつくのはありです。転職すると年収が下がる可能性が高いからです。
20~30代であれば転職しても今の給与水準を維持できる先はたくさんあります、早めの転職をお勧めします。
40代になって吸収合併されてしまって役職から外されたなんてことにならないためにも今のうちから少しずつ準備しておきましょう。
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