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地方銀行が20年後には消えるって本当?将来性はあるの?

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2017年にメガバンク各行が従業員の大規模な業務削減を行うとの発表がありました。

これを受けて「銀行員大リストラ時代が到来する」「銀行の時代は終わった」といったニュースが飛び交いました。

10年程前の銀行は「給料が高く、潰れる心配もないし安泰」というイメージがあり、就活生からの人気が高い業種でした。しかしここ数年でその人気が急落。就活生の銀行離れが進んでいると聞きます。

そんな地方銀行の将来性について、北海道の地方銀行(以下A銀行)に12年間勤めた私からお伝えします

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地方銀行が20年後に消えると言われる理由は2つ

「20年後には多くの地方銀行が街から消える」とよく耳にしますが、これは銀行が次々と倒産する、という意味ではありません。

経営状況の悪化した銀行が店舗の削減や他行との経営統合を余儀なくされ、銀行の数が減るという意味です。

地域の経済規模に対して銀行の数が過剰であることが問題視されていますが、このオーバーバンキング状態になっているのには理由が2つあります。

来店顧客の激減

銀行といえば、番号札を引いて長時間待たされるイメージがありませんか?

しかし近年、新型コロナウイルスの影響もありますが地方銀行への来店顧客が激減しています。

インターネットバンキングで振込や支払等の決済が出来る様になり、銀行窓口に行く必要が無くなった事が原因と考えられます。

また、キャッシュレス化が進んだ事で現金を引き出す事も少なくなり、ATM利用者も減っています。高齢者など従来の手続きを求める顧客が一定数いる以上、急に全ての銀行窓口が無くなる事はありません。

しかし、利用顧客が少なく、採算の合わない店舗から徐々に閉店していくでしょう。

ネット銀行の増加

近年セブン、イオン、au、楽天といった非金融事業者が銀行業に参入するケースが増えました。最初こそ敬遠されていましたが、徐々に若者のシェアを拡大しつつあります。

ネット銀行は地方銀行と違って店舗を持たない為、維持コストがかからない分手数料を低くしたり金利を上乗せしたりする事が可能です。

また、各社のポイントとの連携やネット通販サービスがお得になる等、地方銀行にはない特典が多くあります。

今や口座開設はwebで完結しますし、わざわざ地方銀行で口座を開設するメリットは残念ながら少ないです。

地方銀行は金融サービスや商品だけでは差別化をはかることは難しいので、預金や顧客の獲得競争に負けてしまいます。

選ばれなかった地方銀行は店舗を減らして経費削減をするか、他行と経営統合を行うかしか、生き残る方法が無いのです。

地方銀行の営業店の仕事はどうなる?

AI(人工知能)の発達により現在の人間の仕事の多くが消滅すると言われています。

銀行でも、キャッシュレス化やフィンテック化(金融とITとの融合)により、近い将来無くなると言われている仕事がいくつかあります。

窓口営業業務

営業店の業務の中で、最も無くなる可能性が高いのが窓口営業業務です。冒頭で触れたメガバンクの削減予定業務にも窓口(テラー)や後方事務が含まれます。

例えば三菱UFJ銀行では、顧客自らタブレット操作をして各種手続きを完結する、窓口の少ない軽量店舗が増えています。

案内係など最低限の人員配置となり、これまでの窓口担当者の人員削減となりました。この動きは私が勤めていた北海道のA銀行でもあります。

10年程前だと、各店舗には窓口や後方事務合わせて十数人の行員がいました。

しかし、後方での事務作業が全て事務センターに集約された為、ここ数年で多くの店舗の後方人員がゼロになりました

また、定型作業をソフトウェアに覚えさせて業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も導入され始めています。

これにより、正確且つスピード感のある事務処理に磨きをかけてきた行員達に成り代わり、AIが事務処理業務を担う事になります。

A銀行では営業係の行員を渉外係に配置替えする動きが強まっています。事務処理にかかる人件費を削減し、収益を稼ぐ人員を増やす方針です。

融資業務

かつて銀行の花形とされた融資業務も、消える業務の一つと言われています。

例えば、取引先企業の融資限度額を算定する基準となる、格付を確定する業務。現在は中小企業から紙の決算書を受け入れし、財務情報をデジタル化した後に格付け評価を行なっています。

しかし、財務デジタル化が進めば、格付に関わる業務も人員も大幅に削減出来ます。

クラウド会計システムから得られる財務諸表や入出金情報を元にAIが分析し、融資の審査を行うシステムが開発されているとの話もあります。

住宅ローン等の個人融資も、いずれ来店せずともWEBで完結できるようになるでしょう。

しかし営業事務と異なり、融資の全ての仕事がAIに置き換わる事は無いと、私は考えています。

現在、財務データや保証・担保だけでは無く、成長可能性等を含めて評価する「事業性評価融資」を金融庁が推奨していますが、これは人間が介在しなくては出来ない業務です。

取引先企業から資金ニーズを発掘したり、決算書には含まれない情報を入手したりするのは、信頼関係を築いた人間にしか出来ない仕事だからです。

渉外業務

最近、SNSやブログ、動画配信サービスで貯蓄や資産運用に関する情報を見かける事が多くなりました。ネット証券の口座開設数も年々右肩上がりだそうです。

それだけ資産運用への関心が高まっているのだと思います。

ネット証券には購入手数料が無料の商品も多くありますし、「手数料が高い銀行には運用相談をするな」と言われることも多いです。

しかしインターネットに溢れている情報の中から正しいものを取捨選択するのはとても困難ですし、時間を要します。

銀行が顧客からもらう手数料は、情報提供の対価です。証券会社や銀行といった対面販売を求める顧客が一定数いる以上、渉外の仕事は今後も無くならないでしょう。

低金利の長期化により本業の貸出での収益が低下している為、手数料収入ビジネスは銀行の収益の柱になりつつあります。

どの銀行でも渉外担当者の人員を増やしており、銀行同士の顧客の奪い合いは益々激しくなると予想しています。

複数の地方銀行が、ネット証券大手のSBI証券との業務提携を始めました。派遣された専門家を通じて高度な知識を得て、コンサルティング力を強化する事が狙いです。

取り扱う金融商品で他行と差別化をはかることは難しいので、顧客にとってより有益な情報を提供できるかどうかが選ばれるカギとなります。

今後銀行員には、証券マン並みの知識が求められる事になるでしょう。

生き残る地方銀行は一握り

銀行の三大業務は「預金」・「融資」・「貸出」ですが、本業利益が赤字の地方銀行が数多くあるのが現実です。今後も地方銀行にとって厳しい状況が続くでしょう。

そのような中、地方銀行各行は高齢者の見守りや家事代行サービス、経営者や後継者への婚活支援など、あらゆる分野の企業と業務提携し収益の積み上げをはかっています。

どれも10年前の銀行では考えられない、金融とは関係の無いサービスです。

かつての銀行の概念に囚われず、抜本的な業務削減と新たな事業の展開ができた銀行のみ、生き残る事が出来るのではないでしょうか。

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